JICO(日本国際協力機構)の次長、由利は内定していた部長昇格が経済産業省
からの天下りで先送りになり不満を持っていた。 昇格を見込んで購入したマンション
のローン支払いに窮した由利は、ODAを巡る不正をネタに自由民衆党の久野木
代議士を強請ろうとしたが、渋谷駅で電車に轢かれて死ぬ。 事故は目撃者の証言
から自殺として片づけられた。
葬儀の数日後、由利夫人は夫の使っていた貸金庫から、『JICO共栄会』という架空
団体名義の預金通帳と印鑑、それにカセットテープを見つけJICOに届ける。面会
したのは部長の小池と課長の河本だった。 河本は由利の死が他殺であることを確信し、
小池にODA疑惑を徹底糾明すべきだと主張する。話は小池からJICOトップ経由、
外事省事務次官の原田に上がった。原田は、新任の草野瑞希外相と激しく対立して
おり、この時期に自分の後ろ盾である久野木代議士の不正を表沙汰にするわけには
いかなかった。
数日後、河本に「ODAの不正疑惑を極秘で調査せよ」という特命が下った。河本は
調査のためにコロンビアのボゴタに出張するが、そこで誘拐され身代金を請求される。
JICOは誘拐解決では世界一と言われるセットリング・クライシス社のベテラン、
スティーブン・ブッシェルを雇って誘拐犯との交渉に当たらせる。ブッシェルは漸く交

第三作「マネーロンダリング・ビジネス」
梗 概
処女作「ボゴタの罠」
The Trap in Bogota !

Takashi Shima

渉を纏め、身代金と人質との交換に漕ぎつけるが、当日突然、現場に警察が踏み込み、ブッシェルの部下は射殺されてしまう。現場には誘拐犯が残したコカインの袋があり、ブッシェルも麻薬取引の現行犯で捕えられた。誘拐犯は金を奪ったうえ、傷ついた河本を鮫の海に放り込んで逃走した。
河本の部下で親友だった大地圭太は、一連の事件に強い不審を抱き密かに調査を始める。彼は由利夫人から、貸金庫に残っていた不審な銀行通帳やテープの存在を聞く。更に夫人は、小池部長から貸金庫の番号を訊ねられたこと、更にその二日後に銀行から「貸金庫にメモが一枚残っていた」と連絡を受け、そのメモを河本に届けたことを話す。そのメモにはボゴタ所在の不審な会社の住所が記されていたのである。圭太は、河本がボゴタにおびき出されて殺されたと確信し小池と対決するが、小池は一切を否定し、圭太を「JICOに国民の無用な疑惑を招くな」と叱った。
圭太は辞表を叩きつけてJICOを飛び出し、危険を覚悟でボゴタ行きを決める。しかし、偽造パスポート入手のために立ち寄ったメキシコシティーで早くも殺し屋が迫ってきた。圭太は、河本救出に失敗し失意のどん底にいたブッシェルと手を組み、二人で殺し屋の裏をかいてボゴタに潜入した。しかし圭太はそこで誘拐犯一味の手に落ちてしまう。また、ブッシェルも偽名パスポートによる入国がばれそうになり警察に追われる。圭太とブッシェルを助け、誘拐犯一味を処刑したのはコロンビア麻薬シンジケートの大ボス、ジュリアーノ・ポンティだった。
臨時国会で、久野木代議士は、JICOの由利轢死事故に関する草野瑞希外相の「事故はJICO不正疑惑と関係がある」という発言を厳しく追及していた。瑞希が答弁に窮しているところに証拠物件を抱えた圭太が飛び込んでくる。